インタビュー
[奈良県]株式会社イムラ 代表取締役 井村義嗣 様
昨年比137%増!成約までのリードタイム短縮
国産の高級木材「吉野杉」で注文住宅をつくる株式会社イムラ。強い商品力を武器に、地場の注文住宅メーカーとしては関西トップクラスの受注数を誇っている。だがここ数年、受注棟数は頭打ちに。そんな状況を打開するために取り入れたのが、インプライの「営業強化研修」だ。年間100棟を目指して取り組んだ研修の成果は…。
井村: 官谷さんと出会ったのは、営業関連のセミナーでしたね。
官谷:一年前、私がセミナーでゲスト講師をさせていただき、井村社長がそこに参加してくださったのがご縁です。
井村: 官谷さんに興味を持ったきっかけは、セミナー案内のチラシ。「2年で248棟・生産性日本一」というキャッチコピーに引かれたんです。
官谷: そうだったんですね。
井村: それに、官谷さんからは、実際の住宅営業に取り組んできた『たたき上げ』のにおいがしました。それが研修をお願いする最大の決め手になりました。当社の営業社員は、三分の二が新卒採用。彼ら、彼女たちにインパクトのある話をしてくれるのは官谷さんのような人だと確信しました。
官谷: 私はまず、25の研修プログラムの中から、御社に必要なものを厳選。月一回、全12回のプログラムとしてご提案しました。その目玉は、実際の営業案件をもとした「レビュー研修」です。
井村: 私も毎回研修に参加していますが、レビュー研修を受けたとき、「これは普通の研修と違うぞ」と実感しました。
官谷: レビュー研修は、実際に営業社員が追いかけている案件をもとに行います。必須のヒアリング項目を聞けているか、営業トークを切り出すタイミングは適切かなど、その営業プロセスを「レビューシート」を使って細かく研修します。
井村: 他のコンサルタントは、よその成功事例を持ってきて説明するケースがほとんど。でも官谷さんの研修は、社員一人一人の営業案件に深く踏み込むものでした。営業のたたき上げ経験があるからこそ、できるんでしょうね。
井村: 研修を受けて以来、私はレビューシートにある「追客条件の16項目」を手帳に入れて持ち歩いています。これを接客ですべて聞けたら、成約への第一段階はクリア、という項目ですよね。
官谷: 自ら持ち歩いてくださっているのは、井村社長が初めてです(笑)。
井村: 16項目の最大の長所は、それを聞けたかどうかチェックするだけで、「契約に結びつく、つかない」が分かるところ。最初の接客で「親戚に建築関係者がいる」といった重要なことを聞き出せていないと、あと一歩で受注という段階になって「実は親戚に建ててもらうことにしました」なんてことになりかねません。
官谷: お客様に一度お会いしただけで、見込み客かどうかを見極めるのは、とても重要な営業スキル。見込み客でない人にアプローチしても時間のムダですし、本当の見込み客を獲得するチャンスまで奪います。そうしたムダとロスを防ぐのが、レビューシートの目的です。
官谷: 実は研修中、営業社員が「これは成約できる」と言い切った案件が、見事にダメになったケースがありました。彼はこれまでの肌感覚で「このお客様は商品をすごく気に入ってくれているから、必ず成約する」と自信を持っていました。でもレビューシートを見ると、聞けていない項目が多かった。私は「これは成約しないですよ」と言いましたが、営業社員は「絶対に大丈夫」と胸を張って営業に出かけていきました。ところが、次にその社員に会ってみるとシュンとしている。契約に至らなかったんです。
井村: いま思えば、16項目を聞けていないのに受注できていたことが不思議です。
官谷: こうした「営業の思い込み」を突き崩せるだけでなく、一人の営業社員が私の指導を受けている様子を、他の社員に見てもらえるのもレビュー研修の特徴。指導されている人に自分を重ね合わせることで、自らの営業を客観的に振り返ることができますからね。
官谷: レビューシートは、「成約に至らない原因」を一つ一つつぶしていくためのもの。それを社員同士で情報共有できるのもメリットです。
井村: 二〜三年も成約しないまま、延々と接客を続けているケースもありましたからね。楽しんでお付き合いしているだけでは?と疑いたくなるくらい(笑)。
官谷: 営業社員は、上司にはいい報告しかしないものですからね。
井村: そうなんです。お客様の反応を良いほうに膨らませて報告してきます。だから、私にも店長たちにも営業実態がつかめない。しかし、レビューシートでは、具体的に何が聞けていないのか、どの重要アクションができていないのか、一人一人の営業の中身が赤裸々になります。
井村: 営業社員たちは、営業に行き、レビューシートで接客を振り返り、また営業に行く…という繰り返しの中で、「追客条件が聞けていないと成約しない」ことを体感しました。
官谷: 月一回の研修と平行し、半月に一度、スカイプで個別指導をさせていただきましたね。
井村: おかげさまで、受注数は昨年比137%となりました。
官谷: 成約までのリードタイムも、少しずつ短くなっていますよ。営業社員は「高い商品ほど何ヶ月もかけて売るもの」と思いがちですが、時間をかけているうちに競合に契約を持って行かれることだってあります。営業にも「旬」というものがあるんです。
井村: そのことを営業社員が理解してくれたのが、一番の成果です。
官谷: 研修中、本社移転やモデルルームのオープンなど、次々と新しい動きがありましたよね。それを見ていて、「会社のブランディングにつながるものが必要だ」と思い、社長に「グッドデザイン賞」への応募を提案しました。
井村: 「木の家づくりで吉野の林業を守る」という当社のビジネスモデルで応募しよう、ということだったので、最初は驚きました。しかし、若手の社員が応募書類やパンフレットの作成に熱意を燃やしてくれたのは嬉しかった。結果は見事に受賞となり、大変喜んでいます。
官谷: 一人一人の営業力強化は、この一年でベースができたと思います。今後は、チーム力を高めることに力を入れたいですね。数人のチームで戦略的に接客できるような体制に持っていきましょう!
林業再生事業システム [500年の吉野林業を住まいづくりで守る!川上村との取り組み]が、2015年度グッドデザイン賞に輝きました。 「高品質で知られる吉野林業発祥の地川上村も需要低迷の波は同様にやってきた。そこでタブーともいえるローコスト化に着手する。しかしかつては他所より2〜3割高く売れたその品質を落とすわけにはいかない。そこで工務店と地域の林業組合と行政が力を合わせる事により、流通の徹底的な合理化を行いつつ、消費者ニーズに合わせた技術供給を含めた販売方法へと転換し、需要に繋がり森林の活性化をもたらした。林業関係者だけではこのような革命的な取り組みは不可能であった。守る意識が強い日本の林業に攻めて変革するひとつの突破口を見せてくれた。」と、審査委員より評価を受けました。
井村:インプライの営業強化研修は安定経営を望む会社より、意欲的に業績を伸ばしたい会社に向いています。当社は、吉野杉を使った家づくりに15年取り組んでいますが、吉野杉はブランド木材ですから、これを使った家には強い商品力があります。ところがこの2〜3年、受注数は年間50棟と頭打ち。これは当社だけでなく、何百年にもわたり吉野杉を育てている林業関係者にとっても深刻でした。なにしろ、年間100棟を受注しなければ、吉野の林業は再生できない。だから何としても棟数を伸ばしたかったんです。 研修では、官谷さんの鋭い指摘が入り、営業社員たちはクタクタになります。ですから、社長である自分もいっしょに研修に参加する覚悟がなければ、営業はついてこない。でも、こちらが本気になれば、社員も官谷さんも更に本気になってくれる。その相乗効果が成果に結びつきます。